旅の記憶

自分の中の記録

1日目 広島空港→呉市広

今年のGWはどうにか6連休を確保できたので、四国に行くことにした。

せっかく大好きな北海道に住んでいるというのに、どこにいようとそこから遠いところに行きたくなる性分らしい。

  

出発当日にキャリアを着けようとしたところで衝撃的なことが判明する。

ダボ付きシートクランプの径が合わないのだ。

これまでの自転車歴ですべて同じポスト径だったので、そんなことを全く気にしていなかった。                              

これでキャリアが付かなければキャンプツーリングなぞできるはずもなく、四国に行く意義もなくなる。冷汗が止まらない。

苦し紛れにテープでカサ増しすることでどうにか固定できたようだが、不安だらけのスタートとなった。

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そんな気持ちとは裏腹に、駅へ向かうとちょうど桜が満開となっていた。GWに見る桜というのは季節感がずれすぎて全く感傷がわかなくて面白い。 

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新しいロードを買うぞー

社会人になって早半年。お財布の方にも少し余裕が出て来たので新車を買うことにした。

現在乗っているのは2012年モデルのGiant DEFY2 。4年前、大学に入るときに買っ(てもらっ)た相棒。
まだ5年目だが、キャリアに野宿用具を積んで全国津々浦々を旅して雨にさらされたり、


果てはサハリンで砂まみれになったり

という超絶酷使を続けたので、全体的にだいぶガタが来ている感じが否めない。 見た目もだいぶ味が出て来たし、そろそろ隠居してもらおうというわけだ。時期としてもちょうど2017年モデルが出回る最高の時期だ。


今回の条件としては以下のような感じ
 ・フルアルテグラ
 ・予算40万ほど
 ・オールラウンドに使える
 
そんなわけでとなりまちの枚方市樟葉にある 「BON VOYAGE BIKES」へ。樟葉駅から歩いて10分ほどの場所にある。
HPより転載
 カウンター席なんかがあり、カフェと見紛うようなお洒落な雰囲気を醸し出したお店。珍しいことに店内でスリッパに履き替える。土足厳禁の自転車ショップは初めて見た。
店内には常連と思しきサイクルジャージ姿の二人組がいたが、僕のような一見に対してもちゃんと対応してくれたことでかなり好感を持てた。
HPより転載


相談していく中で、真っ先に考えたのは現在乗っているDEFYの上位モデルだったが、DEFYは現在全モデルでディスクブレーキを導入している。ロードバイクにディスクブレーキを導入することへの賛否は割れているが、未だ規格も碌に統一されていないというのが現状らしいし、いろいろデメリットが見過ごせないレベルなので候補からは外した。

店の人はトレックのDOMANE SL 6なども勧めてくれた。
確かに興味を引かれる機構がついているし、性能も申し分ないのだけど、なんかエントリーモデルもハイエンドも似たカラーリングなところが見栄っ張りな僕には引っかかってしまった(;´・ω・)
せっかく高めの自転車に乗るのだから、多少はドヤ顔したいという卑しい性根が思い切り出てしまっている。
 どうやら最近はメーカー名などはあまり主張せずシンプルな感じにするのが流行りらしい。そういえば、ジャイアントのロゴもグラフィカルな感じで溶け込むようなフォントに変わっている。
僕はフォークからシートステー まであらゆるパイプにメーカー名を入れて主張しまくる自転車に慣れてしまったので、今主流のシンプルなデザインには物足りなさを感じてしまう。

それで結局ジャイアントにしぼって考えることにしたのだけれども、予算的に以下の2種類に行き着いた。

TCR ADVANCED SL 2 KOM(39万)

 TCR ADVANCED PRO 1(33万)

フレームのグレードとしてはそれぞれハイエンドとそれに次ぐグレード。 コンポその他は同じものだ。
SLの方が6万ほど高いが、値段差はそのままフレームのグレードの差ととらえていいだろう。ちなみに重量はSL2が6.8kg、PRO1が6.7kgで100gしか差がない。
あとはISPをどう捉えるかだろう。
SL2はハイエンドのフレームであり、ツールも走る最高グレードのフレームを所有できるという点には何とも言えない魅力を感じるのは事実。しかし硬すぎて僕の足には優しくなさそう・・・。

結構悩んだが今回は実用性をとることにした。
デュラエースと同じで「最高」というのは将来の楽しみにとっておくのも悪くない。
それにしても、値段的には最高グレードのフレームにさえ手が届いてしまうのがジャイアントの恐ろしいところ。
 


そんなこんなで悩みぬいた挙句に2017年モデルの「TCR ADVANCED PRO 1」に決定。

チームカラー仕様のADVANCED PRO TEAM という限定版もラインナップされていたが、7月には売り切れたとのこと。
カラーリングもよかったけど、慣れ親しんだ昔ながらの丸っこいフォントがかっこよかったなあ・・・。


納車は10月下旬になるそうなので、それまでにエンジンを鍛えておこうと思う。




近所にミンクがいた話


この前大学に行く途中、沼に差し掛かった時の事。
水辺でひょこひょこと動く真っ黒な物体がいた。
 なんとなく立ち止まって眺めるとそいつも立ち上がった。そいつは猫と違って頭に突起がなく、胴体はやけに細長かった。初めはフェレットかと思った。
そして愛くるしい目で僕を見つめたかと思うと、身をひるがえして水中にもぐってしまった。
 しばらくして出てくると口に魚をくわえており、手も使いながら器用に食べていった。


とりあえず写真を撮ってその場は離れたが、ひょっとしてカワウソなんじゃないか、でも二ホンカワウソは絶滅したはずじゃ・・・、そんな色んなことが頭をよぎり、研究室でも作業が手につきませんでした。そして研究そっちのけでググっていたら答えは見つかりました。






「ミンク」です 


日本にも北海道や東北の一部、長野辺りに生息しているらしいですよ。

なーんだカワウソじゃないのかとがっかりもしたけど、なんだかUMAでも目撃したかのようで久々に心からワクワクできました。
4年間も毎日のように通っていた道でこんな発見があるとは思っていませんでした。研究室ばかりのマンネリ極まる日々に良い刺激となりました。

今でも毎日大学への行き帰りは沼を眺めては会えることをささやかに楽しみにして過ごしています。


ロードバイク冬用インナーについて悩む


ロードバイクを購入してからもう4度目の冬に入ろうとしている。しかし、毎年何故か夏休みが終わると一気に燃え尽きて、早々に冬眠状態に入り一切乗らないというのが習わしだった。

それが今年はどうしたことか、むしろこの時期になって自転車熱がちょろちょろと燃え始めてきた。 郡山にいられるのがもうわずかという焦燥感からだろうか。

そんなわけで初めて自転車乗りとしての冬を迎えることになった運びでございます。
そして冬はレイヤリング→インナーは直接肌に接する場所。手は抜けないので、ちゃんとしたインナー選びをしようと発起したのです。

これまで年末年始の北海道には二度行っており、いずれも7日程度走り回っていたけどあまり参考にはならないと思う。一度目は諸事情で運動量が低く、全く汗をかくことがなかったためかなりの厚着をしていた。二度目は峠を越えたりもしたけど、かなりの暖冬であり氷点下2度とかがほとんど。
そもそもいずれもロングライドなので、無理のないペースを維持するので汗はそれほどかかないようにしている。そのおかげかどちらもインナーに対しては可もなく不可もなくという感じ。

ちなみに一度目はヒートテック、二度目はメリノウール中厚手を使用。それ以外のレイヤーは同じものを使用していた。

そして、先日気温15度ぐらいの中近所のダムまで、試しにメリノウールの上に半袖ジャージと長レーパンという格好で行ってみた。
普通に暑くて、平地巡航中に汗がじっとりと滲んだ。登りでは言うまでもない。しかしその状態で下っても汗冷えは感じなかった。アップダウンの多いコースだったが最後までそれは変わらず。
また後半太陽が陰って風が出てくると、ちょっと暑く感じるけど汗は出ないという中々の塩梅になった。
しかし、これは結構イケるんじゃないかと帰宅し、しばらくそのままの格好でPC前にいたところ無性に肌寒くなった。上に着た半袖ジャージが湿る程度には汗をかいていたので当然といえば当然。
よって止まると汗冷えがすごい。ということがわかったのでメリノウールはなしかなという結論に至った。たった一時間半程度でこれじゃあね・・・
あとメリノウールは身長からサイズをLと選定したらブカブカになってしまったという欠点もある(自業自得)

しかしメリノウールは冬山をやる人に愛用者が多いと聞くから不思議だ。昨年末、北海道の林道で膝下までの雪の中を歩いた時、走行中と同じ服装だと暑くてたまらなかったことを覚えている。
 冬山のラッセルなんて自転車と比較にならないほど汗だくになりそうなものなのに。それでいてダウンヒル時以上の強風に曝されることもあるだろうに。



まあそんなこんなで色々なインナーに興味が湧いたんです。
そしてようやく本題。
適当に調べた感じ以下の3つが目に止まった。

  •  アンダーウェア コールドギア

コールドギアは絶賛する人が多く無難な感じがする。しかし使用者は関東住みの人が多いようだし、「じこまん」で紹介されてというのが大きいのではないかってことで二の足を踏んでいる。

ブレスサーモヒートテック系の中では最も化繊の割合が多いらしく、汗抜けがよさそう。

ジオラインはブレスサーモに対してどれだけ違いがあるのかよくわからないけど登山用品メーカーだから間違いはないだろうとチョイス。


値段はどれも5000円程度と決して安くはない。正直どれも違いがわからない。しいて言うならコールドギアはぴっちりしていて、他は長袖シャツってことかな。春先の肌寒い次期辺りに半袖ジャージの下に着ても違和感ないのはコールドギアだろう。

でも冬の北海道で一週間着続けて伸びたりしたら悲しいな。うーん。

縦走三日目(剱沢-阿曽原)

この日は風でフライがバタつく音で目が覚めた。
昨夜0時頃テントの外に出た時もほぼ無風だったが、いつの間にか風が出たようだ。

バッサバッサと絶え間なく音を立てるフライ。ペグなんて一本も打ってなかったので当然っちゃあ当然。
よく見るとテント自体も風でかなり傾いているようだ。こりゃあ僕が出て行ったら飛ばされるかもななんて思いつつ、ザック等重いものをなるべく風上に寄せて、まだ薄暗い中へ飛び出す。
ふと剣岳の方に目をやるといくつかの光点がちらついていた。

外に出てみると思っていたよりも風は弱く、風上のガイラインを一箇所岩に括りつけただけでかなり安定した。昨日付けておいてよかったわ。
やっぱ山だとペグダウンは必須だね・・・。これで更に風が強かったらもう手におえないよ。
とりあえず石を積んで風防を作って米を炊いた。
これまでチャリ旅中も昨日も、米を炊いている間にテントを片付けるという風にして時間短縮を図ってきたけど、もし外で調理できないほどの強風だったり、雨が降っていたらどうしようかなんて考えさせられた。

そしてやっぱり朝は寒い。しかも今朝は風もあるので体感温度は更に下がる。
まだ9月上旬だってのにもう冬じゃないか。
飯を食べていると日が出てきたが今朝はそれでも寒い。結局ウィンドブレーカー上下と手袋をしたまま歩き出した。
剣岳に近いだけあってテントを置いてサブザックで剣岳を目指すと思しき人達も見かけた。
僕もいつか登りたいものだ。
剱沢小屋で雪渓の情報を入手していざ剱沢雪渓へ。

さすがに暑くなってきたのでハードシェルはここで脱ぎ、アイゼンを装着する。
このしょぼいやつで行けるのか不安で仕方なかった。
雪渓の表面は凹凸があるので、水平になっている場所を選んで踏んでいけば階段を下っているような感じでそう難儀せずに歩けた。
途中何箇所か急な場所もあるけど、基本的になだらかに下っていくだけなので登山道より断然歩きやすい。
快晴の中ザクザクと雪を踏みしめながら下った。
 表面は固く締まっているという話だったが割りと緩いように感じた。
 ようやく長次郎谷。100年以上前に長次郎達はここを登っていき剣岳に登頂したわけだ。
どうせならここから登りたいね。
 雪渓の終点は滝になっており危ないと小屋で言われてきたが、けっこうな音が響いているのですぐに分かった。
でももしも濃いガスが立ち込めたら夏道を見つけられる自信はないかも・・・
雪渓の歩きやすさを懐かしみながら夏道を歩いて真砂沢ロッジに到着。
テン場は狭いけどなかなかいい雰囲気だ。
しばらく歩くとちょうど雪渓が崩れたばかりの場所に遭遇。ちょっと難儀して通過。
それからも川に沿って下っていく。背丈ほどの草に囲まれた中を歩いたり、梯子を昇り降りしたり、激流ぎりぎりの岸壁を歩いたりと思ったよりも疲れる。
吊り橋を渡って左へ行くといよいよ仙人新道へ入り登り返す。
 仙人新道は梯子・ロープ多数の超急登だった。高度計の数字も面白いぐらいに急上昇し、あっという間にさっきまで歩いていた剣沢の河床ははるか彼方。
両手を付いてゼーハー言いながら登っていった。ここに道を作れるならどんな斜面にでも作れるなと思った。
この区間ではほとんど写真を撮っていない辺りからも当時の自分の必死さが分かる。
標高を大分下げたせいで気温は高く、周りは木が生い茂っているので風も吹かない。
水も尽きかけて本気でヤバさを感じる。

でも悪いことばかりでは無く、美しい裏剱と三ノ窓氷河を見ることができたので精神的に少し癒やされた。
 中間地点のベンチにコースタイムで1時間45分のところを40分少々で着いてしまった。あまりの早さに偽物でないかと疑った。
この辺りからは勾配は緩み展望も効くようになる。 風も少々ひんやりしてきた。
ようやく仙人池ヒュッテも見えてきた。ただ意外と遠かった。


水がなくなり喉がカラカラだったため水をもらう。この時三ツ矢サイダーを売っているのが目に入った。
僕は迷うこと無く200円を払った。
今回の旅は人に頼らず、必要な物は全て自分で担ぎ上げ、全てを自分で対処しようと考えていたが、もうそんなことは頭からすっ飛んでいた。
とにかく冷えたサイダーが飲みたかったのだ。
 仙人池まで行き、水面に映る裏剱を眺めながら一気に流し込む。もう最高としか表現できない贅沢な瞬間だった。
ここからは下る。さっき登った分も含めて下る。

急勾配な上に大きい岩が大きくて非常に下りにくい。膝もしんどくなってきた。
途中の沢では盛大に足を滑らせて尻餅をついた。濡れた花崗岩ってあんなに滑るんだね。
すねを途中でぶつけたのもあってか、ショックで足が震え、尻からじわじわと浸水しているにも関わらずしばらく立てなかった。
これは危なかったね。
現場
勾配がちょっと緩くなると対岸に勢い良く湧き立つ蒸気が見えた。あれが仙人温泉のようだ。
そして仙人小屋に到着。ここから先に進んでしまうと阿曽原まで泊まれる場所は無い。
しかし体力的にもう少し頑張れそうだったので阿曽原まで行くことにした。万が一のために炊事用の水を汲み出発。
小屋から少し下りまた登ると仙人温泉だ。地面には硫黄がこびりつき、一帯に生暖かい空気が漂っている。近くにあった岩に触れるとかなり温かい。蒸気の勢いの良さと言い源泉はかなり高温なのだろうか。
 そこからしばらく登るとピークへ出る。これから黒部川まで一気に下っていく。

そういえば途中でこんなきのこを見つけたが、最近話題のカエンタケだろうか?
それともただのベニナギナタタケなのか。

梯子の連続で緊張する。ほんとよくもまあこんな道を開拓したものだなと感心してしまう。
しばらく下って行くと黒部第四発電所の電線が見えた。こんな山深い場所に突然巨大な人工物が現れている様は大きな違和感を覚える。しかもあの奥に巨大な発電所もあるというのだから驚きだ。
さらに少し下ると草木が茂り鬱蒼とした森になり、道は細かい九十九折となる。
 そしてついに仙人谷ダムがチラ見え!!萎えていた心も奮い立つ。

そこからも下り続け、最後に長いハシゴを降りると仙人谷ダムに到着。
美しい湖面を眺めながら歩きたいが、道はこんな感じであり足を踏み外そうものなら水面まで一直線であり気が抜けない。
 ダムの堤体に登ると関電の軌道が見えた。この前この場所に来た時とは逆の視点。

そしてなんとここからはダムの管理施設の一部が登山道となっているため自由に入ることができてしまう。こんなことはめったにないので興奮してテンション上がる。
 内部もかなり年季が入っている
うわあああ冬季歩道だあああああああああぁぁぁぁぁ
こんなとこまで歩けるなんてほんと感激
 そして軌道を渡る。懐かしいなあ。ここは相変わらず熱気がすごい。
レンズは即曇ってしまう。

あんまりのんびりしてもいられない。再び冬季歩道を通り出口へ。

外へ出ると平場が広がっており、そこに人見平宿舎が有る。随分大きい建物だ。
人の匂いのするところまで降りてきたというので油断して、少々のんびりしすぎた。
この時はこのまま水平にトラバースして阿曽原まで行けるんじゃないかと勘違いしていた。
直後に予想外の急登が現れ動揺する。100m程登って水平道に出た頃にはかなり暗くなってしまった.

この辺りもなかなかデンジャラスな箇所が有り、丸太の桟橋やワイヤーの手すりが設置されていた。
少し歩くと素掘り隧道があり、ここからヘッデンを出した。
権現峠とあるが初期はトンネルなどなかったのだろうか。
 この隧道の真ん中辺りにセンサーライトがあり、人が通り過ぎると後ろから照らすようになっている。
さっきまで後ろに全く人の気配などなかったのに、いきなり後ろから大光量の投射を受けるためかなりビビらされた。 心臓止まるかと思った。
隧道を抜けて少しすると雨がぱらついてきた。すでに辺りは真っ暗であり泣きっ面に蜂状態だ。
初めは気にせず歩いていたが、雨は微妙に強くなっていく。しかしカッパ着たほうがいいか?と思うとまた弱くなったりして決断ができず、結局ダラダラと着ないまま歩き通した。
まあ小屋は近かったし体温も高かったから。あと帽子のせいで雨の強さが分かりにくかったのもある。
気温も下がったようで吐く息は白くなり、ヘッデンの光を遮るので視界は更に悪くなる。
山でヘッデンを使うのは初めてだったが、予想以上に心細い。見える範囲が狭すぎてよほど近づかないと目印も見えないので、うっかり沢跡に入り込んでしまいそうだ。

そして一日中汗で湿っていたためか、ザックのベルトが当たる肩や腰骨のところがあせものようになりヒリヒリする。時折ザックをおんぶするように持って痛みを少しでも和らげようとあがく。

ようやく水平歩道が終わり、阿曽原への下りに入る時には雨は大分強くなっていた。
雨で岩が滑りやすくなっているので慎重に下ろうと考えるが、一刻も早くこの状況を抜けたいという気持ちが強いのでやはりどうしても体は焦ってしまう。
もうすぐそこにあるはずなのに、一向に小屋やテン場の灯が見えないのでかなり焦っていたようで、ある場所で思いっきり足を滑らせた。そのまま尻もちをつく形になって道の脇の草むらまで滑った。
どうしようもなかったが必死に脇の草を鷲掴みにしていたことは覚えている。
幸いそんなに落ちるような場所でもなかったので大事には至らず、地面についた右手の小指が少々痛むだけですんだ。
しかし危なかった。本来ならこういう時ほど冷静になるべきだったのだろう。
その転んだ地点から1、2m進むと小屋の灯が見えたのは可笑しかった。
ようやく安堵して小屋まで下って行き受付を済ませる。
怒られるかと思ったが剱沢から来たと言ったらむしろ感心されて、温泉代をタダにしてくれた。
剱沢から来る人は相当稀なようだ。

受付をしている間に雨はほとんど止んでいた。テン場は小屋から少し下りたところにある。
この日テン泊をしたのは僕だけであった。テントを張るとまず温泉へ向かった。
テン場から5分ほど下っていくと、自分の吐息によるものではない真っ白な蒸気に視界を奪われた。
そこが浴槽であった。
服を脱いで浴槽に入ると温泉の温もりが体に染み渡る。この気持ちよさはこれまで入ってきた温泉ベスト3に入るレベル。
空にはまだ雲が出ていたので月明かりもなかったが、周囲の山や木々の輪郭ぐらいはかろうじて判別できた。
人工光の一切見えない真っ暗闇の中一人で浸かる風呂というのもなかなか悪くはないと思った。
でもやっぱり明るいうちに入りたかった・・・ 。
気温は低く、あがって濡れた服を着るとなかなか寒かった。湯冷めするんじゃないかと心配したが、またテン場まで登らなければならないのでいい塩梅に体が温まり調度良かった。

 頑張った自分へのご褒美として今夜はカツカレー。ちょっとしょぼすぎて悲しくなってきた。
ラジオから流れていたモーツァルトチェンバロの曲が妙に印象に残る夜だった。
そういえばここまで下りてくると蚊も出てきて鬱陶しかった。
味噌汁に飽きてきたのでコンソメスープでコッヘルを洗ってみたが、それだけの変化でもでかなり新鮮に感じ美味しかった。

22時頃寝る。

縦走一日目(黒部ダム-雷鳥沢)

黒部ダムにやって来た。天気もよくいい感じ。

展望台に上ったり遊覧船に乗ったりして遊ぶ。
なかなかの九十九折

超定番の角度ですね
  
明日登る立山と思しき山々もバッチリ見える
 この山の中にも欅平まで延びるトンネルが隠れているのかと思うと胸熱。
この写真ではどこにあるんだかわからないけど、いつか下ノ廊下も歩きたいものだ。
ボートはやい
実際に来て改めて思うのは、よくもまあこんなところにこんなに巨大なダムを造ったなあなんてありきたりな感想。
ただただそんな単純なことを考えていた。

ひと通り歩き回った後、友達とは写真を撮って別れた。

これでまた独りになった。これから一週間にも及ぶ単独行が始まる。
初めての単独長期縦走でもあるので正直不安だらけだった。チャリ旅と違って何かが足りなくなったり壊れたとしても買い足すことはできないし、途中で怪我でもして動けなくなれば即遭難だし、そもそもこんなに重い荷物を背負って何日も山を歩くことができるかもわからない。

室堂までは三種類の乗り物を乗り継いで標高差1000mを稼ぐ。

まずはケーブルカー。のんびりしていたら時間がギリギリになってしまい、走って乗り込む。
乗車券はここで室堂までの分をまとめて買えるようだ。便利でいいね。
しかし郡山東京間の電車代より高いってちょっと意外。足元見てくるなあ。
それと10kg以上の荷物を持ち込む場合は300円の手回り品切符も買わねばならない。

乗り場も車内も急傾斜になっており少し面白い。また乗車人数も少なくくつろぐことができた。

次はロープウェイ。巨大なゴンドラに乗り込む。椅子は少ないので立ち乗りが基本のようだ。
下には黒部ダムから立山へ延びる登山道が見える。やっぱアルペンルートできて良かったわ。

お次はトローリーバス。
 そしてここまでは空いていたが突然人で溢れかえった。一体どこから?
車内はけっこう混み多くの人が立っていた。

車内ではトンネル工事についての解説が流れていた。途中破砕帯の表示がある場所を通ったが、こんな数秒で通り抜けてしまう距離を掘るのに13ヶ月もかけたのだから想像を絶する話だ。

室堂ターミナルも人がいっぱい。とっとと登山届を書いて出し、足早に離れる。
地上へ出る階段の壁に登山情報が貼りだされており、最近薬師岳で大学生二人が亡くなったようだ。思わず気が引き締まる。後日ここに載る羽目にならないように気をつけねば。

 外にでると風が少々あり、すごく寒い。予想以上の寒さだ。
なんだか思っていたより寂しいところだ

この先どこまで電波が入るかわからないので親に連絡して出発。 ガスがかかっているため立山はほとんど見えず。
遊歩道みたいな道を歩いて行くと 綺麗な池が見えてきたこれがみくりが池のようだ。晴れていたらさぞかしきれいだろうね。
 ちょうど風向きが悪く硫黄の臭いが鼻を突く。道沿いには何箇所も火山ガスへの注意を促す看板があった。
風向きはモロっす

ガスの中を下って行くと今日のキャンプ地である雷鳥沢キャンプ場が見えた。かなりの人気スポットと聞いていたので覚悟していたが意外と空いているじゃないか。
すかすかに見えたが40張りはあった

着いたら受付を済ませて設営にかかる。 一泊500円だった。
ちなみに熊が出るから食べ物等は外に出さないで下さいと言われた。こんなところにも熊が出るのか・・・。
設営完了。スリーブ式の張り方にも大分慣れてそこそこ早く張れるようになってきた。
早速夕食の準備をする。ちなみにauLTEまで入っていて少し驚いた。
 今夜の夕食は横須賀海軍カレー!荷物をなるべく軽くしたかったので。
やっぱ炊きたての米は美味い。

とりあえず今日は下りで少々膝に不安を覚えたもののこの調子なら大丈夫そうなので安堵した。

飯を食べ終わればすることもないのでとっとと寝る。周りのテントにはまだおしゃべりに興じるグループもいたけど全く気にならずにぐっすり寝られた。

マイホーム購入

念願のマイホームをゲットしました。 
モンベルのステラリッジ1でございます。これで地球のどこでも僕の家です。



前に使っていたのは部室から借りた安物テントのロゴスくん。安物と言っても重量以外に不満はありませんでしたが、昨年冬に宗谷岬でついにポールが折れました。
出会ってから4ヶ月。早すぎる別れでした。
 (なんだかんだでその後10泊以上使ったけどね)

本当は修理してでも使いたいほど愛着があったんですが、この価格帯だと補修部品もないようで、新しい相棒を探すことに。
そうなるとせっかくだから今度は末永くつきあえるやつがいいし、山もやりたいので軽いのが欲しいと思ったわけです。

そしてテントって高いからそんなにホイホイ買えないので大いに考えました。
雑誌のテント特集を読みあさったり、ネットの海を漂流したり・・・。
そしてその結果たどり着いた結論は、最初に候補に入れていたステラリッジでした。

なんだ結局ド定番じゃねえかなんて言われそうですが、調べて考えれば考える程ステラリッジの優秀さが際立ってきてしまいこれを選ぶしかありませんでした。

大体の人がテントを選ぶ点で分岐となるのは以下の様な感じだと思う。
  1. 価格
  2. 重量
  3. 何人用か
  4. シングルウォールorダブルウォール
  5. 自立式or非自立式
  6. 入り口が、短辺or長辺
  7. スリーブ式or吊り下げ式
僕の条件は
  1. 4万前後
  2. 軽いやつ
  3. 一人用
  4. ダブルウォール
  5. 自立式
  6. どっちでもいい
  7. どっちでもいい
ってな感じでかなり無難な条件。山だけじゃなくてツーリングにも使う場合は汎用性が高いに越したことはないからね。
あとテン泊how to本なんかだと「単独行でも二人用がいいよ」と大体書いてあるので、僕もそれに従って二人用にしようと思っていたが、ロゴスくんの寸法を測ってみたら一人用テントだということが判明したので鞍替えした。
 僕は
これまであのテントで狭いと感じたことはなく、冬に88Lのザックを持ち込んだ時にも特に不便は感じていなかったので今回の結果は衝撃的だった。
僕はかなりの幸せものだねえ。

それでこの条件だとステラリッジの他にもエアライズ、VS20当たりが定番みたいですが、この中だとステラリッジが最もコスパが高いんですよね。
と言っても安い割はいいというのではなく、普通に作りがいいんですよ。
もし全て値段が同じでも僕はステラリッジを選んだと思います。
エアライズ
VS20




 ここまでべた褒めのステラリッジですけど一つ嫌なこともあります。それは他の人とかなりの確率で被ること。
去年の大晦日に宗谷岬に行った時はステラリッジばかりで軽く笑いました。

そんなことがあったのでモンベルは避けたいという気持ちもありましたが、いいものなんだからみんな使ってて当たり前だよねってことで納得しました。ちょうど楽天からモンベルテント15%オフクーポンが来たというのもグイグイ背中を押しました。
最終的に形がほとんど同じエアライズとで迷っていましたが、縫製がちょっと汚いとか自分でシーム処理をしなきゃならないと聞いて確定しました。
まあどうせエアライズも山に行けばかぶりまくるので。
というわけで今年は僕も宗谷岬年越しステラリッジ村の村民になってきます。


以下レビュー的なの


楽天で32kで購入。 うーん安い。
しかも重量は1.47kg(実測値)。 ロゴスくんの半分以下ですよ。
 とりあえず近くにあったコミックと比較。スタッフバッグにはまだ余裕があるのでポールを抜いてコンプレッションすれば更に小さくできそう。
 一応説明書が入っていた。
 ポールはジュラルミン製でアルマイト加工がされており美しい。 補修用のパーツが付属するあたりも流石はモンベル
まずインナーを広げる。この時点で既に軽い。
 ポールをスリーブに通していく。スリーブの入り口にも通しやすいよう工夫されていてグッドだ。
 通し終えたら
 四隅にある穴に通して立てる。慣れだと思うけど結構力が必要だった。
しかしその分壁面がぴんと張っていて見栄えがいい。
四隅に引っ掛けてフライをかける。
モンベルは他社と違いフライの固定にドローコードを用いているため、フライが伸縮しても常にテンションを保つことができるらしい。
細引きはフライの穴を通してインナーに直接結わえる方式。強風にも強そうだ。
ちゃんと通気口もついている。しかもワイヤーが仕込まれているため、ちゃんと機能してくれそうだ。
ただ入り口に対して直角になるようについているのでそんなに風通しはよくなさそう。
入り口はこんな感じ。入り口の上から2/3程がメッシュにすることができるようになっている。
どちらもチャックの滑りは良好で開けやすい。
 ただ一つ気になるのが、メッシュ開放用のチャックが外側からしか開かないこと。
なのでテントの中に入ってから「ちょっと暑いからメッシュにするか」なんて思ったら、一度入り口を少し開けてからメッシュ用のチャックを開けなくちゃならない訳だ。
非常に細かいところだけどちょっとめんどくさそう。
入り口の脇には定番のメッシュポケットがある。別に小物は自分の脇に置いておけばいいだけなので、この収納を使った記憶が無い。
みんなはここに何を入れているんだろうか。
当然ながら床もうすうすなので少し怖い。グラウンドシート買おう。
前室は狭いけど靴+αを置く分には十分そう。
 中は意外と狭い。174cmの僕が寝てもつま先が壁につかないようにすると髪が少し触れる。今日は寝ぐせを直してこなかったという点を考慮しても少し窮屈かな。
床面積ばかり気にしていたが、天井が低い分側部の立ち上がりも急であることを考えていなかった。
床は全長208cmのエスケープライトビビィがほぼちょうど収まるサイズだ。
 換気口には開閉可能なメッシュがついている。細かいことだけどかなり気が利くな~。
こいつかなりできるやつだわ。
天井には5箇所ループがついている。ここにはオプションのロフトを付けられるようだが、ただでさえ低い天井が更に低くなるので相当窮屈になりそうだ。
前にPEAKSに載っていたように細引きをつけようかな。
割りと雑にたたんでしまったが難なく入った。これなら雨天の撤収時にも楽そうだ。

感想

まず思ったのは何もかもが軽いこと。インナーもフライ、ポール、ペグの全てが軽い。
何気ない全ての動作で感動した。
逆に軽すぎて少し不安になったぐらいだ。
そして、これが初めてのスリーブ式かつ本格テントだったわけだけど、まだこのテントに慣れていないということを前提に書きますが、やはり設営・片付けの早さ楽さは吊り下げ式の方が上だと思う。
ポールが意外とスムーズに入って行かないことがあってモヤモヤした。
生地が薄いのでなおさらだ。
ただ吊り下げ式だとどうしても重くなってしまうようなので、そこはしょうがないよね。
しかしきつきつな分、以前のと比べるとインナーもフライもパリっと張れるので結露も少なくなりそうでいい感じだ。